20130519

ギア比2.8の法則

昨年 依頼があって書いた作文・・・ 印刷されるんで 結構 手直しが入ってしまい 綺麗な文章になりすぎてしまったので あらためて 僕の言葉になおして 戻してみました


「ギア比2.8の法則」とでも言うのか また始めからやりなおし・・・

練習中の落車で 生涯で三度目の鎖骨骨折をしてしまった 15歳の時に左側 22歳の時には右の鎖骨を骨折 共にレース中の落車で 当時は「次のレースまでには治るかな・・・」そんな気持ちでいたことを思い出した でも今回 次のレースの予定はない

以前から診てもらっているスポーツ医のもとを訪れ 治療方針と完治までの計画を話し合った ワイヤーやプレートを入れて骨折箇所を固定する手術をすれば すぐにでも乗ることが可能になると医師は言う でも今回は 自然治癒の方法をとった 第一戦で走るプレイヤーではないことを少し実感 まあそれでも のんびり治す気はサラサラない 翌日から 回復のためにできることは可能な限り行った そして落車から三週間でペダリングを開始  『また最初からかぁ~』そんな気持ちで乗り始めた

「2.8の法則」とでも言うのか ギア比を「2.8」に固定して練習する古典的な基礎練習から開始した
 (ギア比=フロントギア歯数÷リアスプロケットギア歯数)

サイクリングを学び 噛み砕きはじめた時 「エンドクリン」(内分泌 endocrine)の理解を避けては通れない 体内で繰り返されている様々な代謝のことで ロードレースにおいては最も重要な体内の仕組みとなる つまり この仕組みを理解していないと サイクリングのコーチ またエンデュランススポーツのコーチングはできないってことだ

僕たちのカラダについている筋肉には三種類の筋線維があって ロードのペダリングでは この線維を順番通りに使ったペダリングができないと話にならない たった三種類の筋肉の線維を動かすだけのことだけど 順番を間違えて使っていると 内分泌の仕組みが効率よく機能しないので いくら練習を重ねても強くなっていかないということになる サイクリングに必要な内分泌の仕組みってのは「回復しながらパワーを生み出す仕組み」ってことなんだ

筋肉の線維の中には ミトコンドリアという細胞が 分子のレベルで無数に存在している ミトコンドリアは 酸素と糖質・脂質をクエン酸回路を使って酸化(燃焼)することで 筋肉が収縮運動するためのエネルギーを生産している これを『酸化系の経路(代謝)』という またこの仕組みでは『解糖系の経路』で産出された酸を燃焼してくれる機能も果たす なので 酸化系の経路が機能し続けていれば 酸(ピルビン酸)は 乳酸に変換される前に 酸化系の筋線維の収縮のためエネルギー源として利用され 燃焼するってことだ

では三種類の筋線維とは・・・

Type1とも言われる 酸化系経路を使って動く(酸素と糖質・脂質を使い収縮する)筋肉の線維を遅筋線維と言う これに対し 解糖系経路を使って動く(体内に蓄えたグリコーゲンで収縮する)筋肉の線維を速筋線維と言うんだけど この 速筋線維には2種類の線維が混在していて わずかだけど 遅筋と速筋の両方の性質を併せ持つ線維があるんだ これを中間筋線維(Type2a)と呼ぶ そして グリコーゲンのみを使って収縮する線維は速筋線維(Type2b)と呼ぶ これが三種類の筋繊維ミトコンドリアは 遅筋線維に多く存在していて 遅筋線維と同様の性質を持った中間筋線維にも存在している

このミトコンドリアをいかに多く使うことができるかってことが サイクリングのパフォーマンス 強さに直結しているんだ

しかし 遅筋線維は大きなパワーを出力することができないため ダッシュやスプリント また 高速巡航や登り坂 ヒルクライムなどでは 速筋線維を動かさないと速く走れないのも事実 そこで重要なのが“使い方”だ チカラまかせの雑なペダリングになっていると 遅筋線維と速筋線維が ON&OFFみたいな動きとなってしまい ガッツリ速筋線維で踏んだら乳酸が溜まって 踏めなくなってタレたら遅筋線維で乳酸が燃焼するのを待つ・・・ そんな走りの繰り返しになってしまう

サイクリング 特にロードは 回復しながら運動するスポーツなので 遅筋線維と中間筋線維をしっかり使い切り この二つの筋線維を全て もしくはできる限り多く動かしたうえで 速筋線維を“必要な負荷(出したいスピード・パワー)の分だけ”使う これがサイクリングの基本なんだ

遅筋線維→中間筋線維→速筋線維 この順番で 筋線維を動かす

サイクリングでは この順番で筋線維を収縮させることが絶対必要で がむしゃらに負荷を掛けてしまうと 遅筋線維は使われずに速筋線維が積極的に使われてしまい 産出された酸は、遅筋線維と中間筋線維の収縮がなければ燃焼されず 結果、脚がウリキレるのを待つばかりってことになる

そこで「2.8の法則(理論)」ってのを使うんだ 古典的な基礎練習のためのギア比なんだけど 遅筋線維と中間筋線維までを動かすには絶好の倍数ってことなんだ

言い換えるなら サイクリングの基礎練習って いかに多く遅筋線維と中間筋線維を使えるようになるかってことなんだ この程度のギア比だと 踏みすぎることなく また 雑になるほど回しすぎずにケイデンスをあげてスピードを上げる練習ができる 脚全体の筋肉を意識して遅筋線維と中間筋線維を使い切る練習には このギア比で固定してペダリングする練習ってのが最も効率が良い 更に カラダ全身を無駄なく丁寧に使うことも意識できる

ギアが軽ければ負荷が軽いとは言えない またその逆で 重たいギアだからって負荷が掛っているとも言えないんだ ようは使い方の問題 筋繊維の動かし方しだいで負荷は変わるってことなんだ

こんなことを自在にできるようになるために、「ギア比2.8」で練習する 筋肉の使い方を一から練習する

「ギア比2.8」で 最高でも35km/hまでにおさえて このスピードを維持して数時間巡航する ロング・スロー・ディスタンス 【LSD〈Long Slow Distance】 って基礎練習・・・

まあ、たいして面白くもない練習なんだけど でも僕は まだ速く走りたいからこんな練習を繰り返し飽きるくらいやっている 『速く走れるようになるんだったら 最初っから何度でもやりなおす!』こんな気持ちが まだあるからね!


【追記】20130524
「ギア比2.8の法則」は ロード練習での練習方法の 1つです ローラーでの練習方法ではありません 間違わないようにしてください!

ローラーで 「ギア比2.8」でのペダリングだと 負荷の意味がまったく変わってきてしまいます それと合わせて ギア比が軽くなりすぎてしまい 雑なペダリングに繋がる場合があるので 要注意(まったく逆行することになります)(カラ回転で早くまわても 速くは走れません)

ロードでの 細かい路面の状況 勾配 風向きなので変化する負荷を利用して 正確で効率の良い脚の使い方 回転力を向上させ スピードを上げる(出す)ための基本練習 AT(LT VT)の向上のための練習方法です

【追記】20150207
千葉錬 後書き | LSD 〈Long Slow Distance〉
http://charipro.blogspot.jp/2015/02/lsd-long-slow-distance.html



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